「収入は多いほどいい」とは言うけれど──
本当に大切なのは、「どの構造から収入を得ているか」だと、ぼくは思っています。
収入を増やそうと考えるとき、“収入の本数”を増やす、本業と副業で収入の絶対額を増やすことは正解です。
また、株式投資だけでなく、不動産投資もやる。しかし、見落としがちなのが、結局すべては「労働市場」と「金融市場」という、たった2つの構造に収束していくという視点です。
そして、この二つの市場に夫婦2人が参加する形をクアトロインカムと呼びました。
本記事では、このように収入の「本数」を増やしてみる、
クアトロインカム/セクスタインカム/オクタインカムという三つのモデルを提示しながら、自由を支える収入構造の本質について、構造的に考えていきます。
第1章|収入を“本数”で分解するという発想
収入の多様化というテーマは、今や珍しくありません。“収入源を増やす”という話はよく聞きますが、それを「何本あるか」という切り口で整理すると、見えてくる構造があります。
収入を「本数」で捉える意味
「収入を本数で捉える」という視点には、構造的な思考の入口があります。
では、なぜ4本という収入構造に注目するのか?
それは、実際にぼくたち夫婦が持つ“4本のエンジン”が、自由な選択の支えになっているからです。
ぼくたち夫婦は、「本業収入」と「投資収入」をそれぞれ持っています。
これを掛け合わせて、4本の収入源を持つ構造──
shisan-tabiではこれを「クアトロインカム(quattro income)」と呼びました。


クアトロインカムという考え方
たとえば:
- 夫:本業(会社員)+ 投資
- 妻:本業(会社員)+ 投資
合計4本の収入エンジンが回っている状態です。
このように「何本あるか」を可視化することで、収入源の偏り・依存度・自立性が明確に見えてきます。
もちろん、本数が多ければ安心という単純な話ではありません。
本数×市場構造で見えること
重要なのは、それぞれの収入源がどの市場構造(労働か金融か)に属しているのかを理解し、将来的に“どのエンジンが止まるか・止められるか”を設計できることです。
本数のカウントは、あくまでその設計に向けた地図。
地図を持っていなければ、進む方向も自由も選べません。
第2章|セクスタインカム:夫婦6本の収入軸は現実か?
「副業解禁」が当たり前となった現代において、収入構造はさらに枝分かれしはじめています。
会社員でありながら、週末にスキルを活かした副業を行い、同時に株式や投資信託で資産運用もしている──
そんな“三本立て”は、もはや特別ではありません。
このような形を、shisan-tabiでは「セクスタインカム(sextuple income)」と呼んでいます。
たとえば次のような構造です:
- 夫:本業(会社員)+ 副業 + 投資
- 妻:本業(会社員)+ 副業 + 投資
それぞれ3本ずつのエンジンを備えていれば、夫婦で6本=セクスタの構造になります。
この構造の利点は明確です。
一つの仕事に依存しすぎず、複数の収入源が相互にリスクヘッジとして機能する。
また、人的資本(時間・スキル)と金融資本(投資)をハイブリッドに運用できる柔軟性があります。
しかし一方で、注意すべき落とし穴もあります。
- 時間を切り売りする副業は、自由と引き換えになることもある
- 投資の収益は必ずしも安定せず、過信は禁物
- 家族内で本数を増やすほど、調整や負担も増える可能性がある
つまり、数が増えること=自由の増加とは限らないのです。
大切なのは「どの収入源が、どの市場(労働 or 金融)に属するか」を見極めた上で、自分たちにとって“最適な本数と構造”を設計すること。
セクスタインカムは、人的資本をどう分配し、どう育てていくかの問いと直結しています。
次章では、さらに未来を見据えて、「8本構造=オクタインカム」が描く世界を探っていきます。
時間に縛られず、資産が働いてくれる仕組みをどう設計できるのか。その可能性を深堀ります。
第3章|オクタインカム:8本のエンジンで生きる未来設計図
副業や投資を超えて、さらに多様な収入源を組み込んだ形──
それが「オクタインカム(octuple income)」、すなわち8本の収入軸を持つ未来型ポートフォリオです。
たとえば次のような構造を想像してみてください:
- 本業(会社員)
- 副業(ブログ)
- 副業(YouTube)
- 株式投資(配当・キャピタルゲイン)
- 債券やREIT
- 不動産収入(賃貸)
- 年金(公的・企業・iDeCo)
- デジタル資産収益(コンテンツ販売やアフィリエイト)
このように、労働市場 × 金融市場をまたぎながら、それぞれの資本が複線化されていく構造です。
人的資本を「複線化」する
従来、人的資本は「一つの会社への勤め」に集中しがちでした。
しかし現代は、副業、スモールビジネス、コンテンツ発信などを通じて、人的資本の用途を複線化する時代に移りつつあります。
- 会社での専門スキル × SNSでの情報発信
- 本業で得た知見 × オンライン講座での還元
- 経験のストック × 書籍・noteなどへの展開
このような人的資本の分岐は、時間効率と再現性をもたらし、金融市場へのレバレッジとも接続します。
金融資本も「複線化」する
投資もまた、単なる株式だけに留まりません。
インデックス投資に加え、高配当株、不動産、社債、年金、などが加われば、金融資本のキャッシュフロー源が複数化されます。
結果として、「毎月どこかからお金が入ってくる」状態が生まれ、FIRE以後の生活の安定性が格段に高まります。
「8本の構造」は、自由のための設計図
オクタインカムとは、単に収入の“数”を競うものではありません。
それはむしろ、「どのように自由を得るか」という問いに対する、構造的な答えの一つです。
人的資本と金融資本の両面で、自分たちの強みと志向に合った収入源を組み合わせていく。
それは“働かずに生きる”ではなく、“働き方を設計する”という、より主体的なアプローチなのです。
最終章|収入の“数”に縛られない──設計の本質はどこにあるか?
「収入の本数を増やせば、自由になれる」──
それは一見もっともらしく聞こえます。確かに、多くのインカム源はリスク分散になり、精神的な安心にもつながります。
けれど、“数を増やす”こと自体が目的になってしまうと、本質を見失うこともあるのです。
本数の増加が「複雑化」を招くこともある
8本の収入源──
たとえ実現したとしても、そのすべてを維持・管理し続けるには、時間・思考・エネルギーの分散が避けられません。
本業、副業、投資、不動産…
どれも「それなりの工数」と「情報のアップデート」が必要であり、人生そのものが“収入の管理業”になってしまう危険もあります。
- キャッシュフローの管理が煩雑になる
- 税務申告や契約管理の負担が増える
- 精神的に「常に稼がねば」という圧力が生まれる
これは、まさに“自由のパラドックス”。
自由を得るための多様化が、かえって自分を不自由にしてしまうのです。
「構造」で捉えると、本数に囚われすぎない
ここで改めて強調したいのは、“自由”とは数ではなく構造の問題だということ。
収入が「8本あるか」ではなく、「労働市場と金融市場という2つの根本構造をどう設計するか」が本質です。
- 本業に集中し、安定した人的資本を確保する
- 金融資本は放置型インデックスで自動化する
- 副業は「やりたいこと」に絞ることで負担を減らす
たとえクアトロインカム(4本)であっても、“構造的にシンプルで強い”設計ができていれば、それはフルスペックの自由と言えるのです。
自由とは、「設計できること」
自由とは、単に“何をしてもいい状態”ではありません。
自分にとって何が重要かを見極め、それに合わせて構造を選び取れること──
それが、shisan-tabiが大切にしてきた「自由の設計」という思想です。
セクスタでもオクタでもなくていい。
むしろ、自分にとって心地よい“構造”を選べばいいのです。
数に憧れるより、構造を見抜け。
枝葉に惑わされず、根を育てよ。
それが、shisan-tabiが考える「構造から自由を設計する」ということなのです。


旅のプランニングと資産設計を通じて、自由な人生を構造的にデザインすることを追求中。
50歳での早期退職を目指し、世界一周航空券での長期旅を本気で準備しています。
思想・構造・実践──人生を支える「資産としての旅」を記録・発信中。