01 |思想編|なぜ投資するのか?

「セクスタ」「オクタインカム」という未来のかたち──収入構造はどこまで多様化できるか

夕日の海に沈む太陽と穏やかな水平線──自由で構造的な収入設計を象徴する風景


「収入は多いほどいい」とは言うけれど──

本当に大切なのは、「どの構造から収入を得ているか」だと、ぼくは思っています。

収入を増やそうと考えるとき、“収入の本数”を増やす、本業と副業で収入の絶対額を増やすことは正解です。

また、株式投資だけでなく、不動産投資もやる。しかし、見落としがちなのが、結局すべては「労働市場」と「金融市場」という、たった2つの構造に収束していくという視点です。

そして、この二つの市場に夫婦2人が参加する形をクアトロインカムと呼びました。

本記事では、このように収入の「本数」を増やしてみる、
クアトロインカム/セクスタインカム/オクタインカムという三つのモデルを提示しながら、自由を支える収入構造の本質について、構造的に考えていきます。

第1章|収入を“本数”で分解するという発想

収入の多様化というテーマは、今や珍しくありません。“収入源を増やす”という話はよく聞きますが、それを「何本あるか」という切り口で整理すると、見えてくる構造があります。

収入を「本数」で捉える意味

「収入を本数で捉える」という視点には、構造的な思考の入口があります。

では、なぜ4本という収入構造に注目するのか?
それは、実際にぼくたち夫婦が持つ“4本のエンジン”が、自由な選択の支えになっているからです。

ぼくたち夫婦は、「本業収入」と「投資収入」をそれぞれ持っています。

これを掛け合わせて、4本の収入源を持つ構造──
shisan-tabiではこれを「クアトロインカム(quattro income)」と呼びました。

広がる海と空、水平線上に並ぶ漁の支柱
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クアトロインカムという考え方

たとえば:

クアトロインカムの例

  • 夫:本業(会社員)+ 投資
  • 妻:本業(会社員)+ 投資

合計4本の収入エンジンが回っている状態です。

このように「何本あるか」を可視化することで、収入源の偏り・依存度・自立性が明確に見えてきます。

もちろん、本数が多ければ安心という単純な話ではありません。

本数×市場構造で見えること

重要なのは、それぞれの収入源がどの市場構造(労働か金融か)に属しているのかを理解し、将来的に“どのエンジンが止まるか・止められるか”を設計できることです。

本数のカウントは、あくまでその設計に向けた地図。
地図を持っていなければ、進む方向も自由も選べません。

第2章|セクスタインカム:夫婦6本の収入軸は現実か?

「副業解禁」が当たり前となった現代において、収入構造はさらに枝分かれしはじめています。

会社員でありながら、週末にスキルを活かした副業を行い、同時に株式や投資信託で資産運用もしている──

そんな“三本立て”は、もはや特別ではありません。

このような形を、shisan-tabiでは「セクスタインカム(sextuple income)」と呼んでいます。

たとえば次のような構造です:

セクスタインカムの例

  • 夫:本業(会社員)+ 副業 + 投資
  • 妻:本業(会社員)+ 副業 + 投資

それぞれ3本ずつのエンジンを備えていれば、夫婦で6本=セクスタの構造になります。

この構造の利点は明確です。

一つの仕事に依存しすぎず、複数の収入源が相互にリスクヘッジとして機能する

また、人的資本(時間・スキル)と金融資本(投資)をハイブリッドに運用できる柔軟性があります。

しかし一方で、注意すべき落とし穴もあります。

  • 時間を切り売りする副業は、自由と引き換えになることもある
  • 投資の収益は必ずしも安定せず、過信は禁物
  • 家族内で本数を増やすほど、調整や負担も増える可能性がある

つまり、数が増えること=自由の増加とは限らないのです。

大切なのは「どの収入源が、どの市場(労働 or 金融)に属するか」を見極めた上で、自分たちにとって“最適な本数と構造”を設計すること。

セクスタインカムは、人的資本をどう分配し、どう育てていくかの問いと直結しています。

次章では、さらに未来を見据えて、「8本構造=オクタインカム」が描く世界を探っていきます。

時間に縛られず、資産が働いてくれる仕組みをどう設計できるのか。その可能性を深堀ります。

第3章|オクタインカム:8本のエンジンで生きる未来設計図

副業や投資を超えて、さらに多様な収入源を組み込んだ形──

それが「オクタインカム(octuple income)」、すなわち8本の収入軸を持つ未来型ポートフォリオです。

たとえば次のような構造を想像してみてください:

オクタインカムの例

  • 本業(会社員)
  • 副業(ブログ)
  • 副業(YouTube)
  • 株式投資(配当・キャピタルゲイン)
  • 債券やREIT
  • 不動産収入(賃貸)
  • 年金(公的・企業・iDeCo)
  • デジタル資産収益(コンテンツ販売やアフィリエイト)

このように、労働市場 × 金融市場をまたぎながら、それぞれの資本が複線化されていく構造です。

人的資本を「複線化」する

従来、人的資本は「一つの会社への勤め」に集中しがちでした。

しかし現代は、副業、スモールビジネス、コンテンツ発信などを通じて、人的資本の用途を複線化する時代に移りつつあります。

  • 会社での専門スキル × SNSでの情報発信
  • 本業で得た知見 × オンライン講座での還元
  • 経験のストック × 書籍・noteなどへの展開

このような人的資本の分岐は、時間効率と再現性をもたらし、金融市場へのレバレッジとも接続します。

金融資本も「複線化」する

投資もまた、単なる株式だけに留まりません。

インデックス投資に加え、高配当株、不動産、社債、年金、などが加われば、金融資本のキャッシュフロー源が複数化されます。

結果として、「毎月どこかからお金が入ってくる」状態が生まれ、FIRE以後の生活の安定性が格段に高まります。

「8本の構造」は、自由のための設計図

オクタインカムとは、単に収入の“数”を競うものではありません。

それはむしろ、「どのように自由を得るか」という問いに対する、構造的な答えの一つです。

人的資本と金融資本の両面で、自分たちの強みと志向に合った収入源を組み合わせていく。

それは“働かずに生きる”ではなく、“働き方を設計する”という、より主体的なアプローチなのです。

最終章|収入の“数”に縛られない──設計の本質はどこにあるか?

「収入の本数を増やせば、自由になれる」──

それは一見もっともらしく聞こえます。確かに、多くのインカム源はリスク分散になり、精神的な安心にもつながります。

けれど、“数を増やす”こと自体が目的になってしまうと、本質を見失うこともあるのです。

本数の増加が「複雑化」を招くこともある

8本の収入源──

たとえ実現したとしても、そのすべてを維持・管理し続けるには、時間・思考・エネルギーの分散が避けられません。

本業、副業、投資、不動産…

どれも「それなりの工数」と「情報のアップデート」が必要であり、人生そのものが“収入の管理業”になってしまう危険もあります。

  • キャッシュフローの管理が煩雑になる
  • 税務申告や契約管理の負担が増える
  • 精神的に「常に稼がねば」という圧力が生まれる

これは、まさに“自由のパラドックス”。

自由を得るための多様化が、かえって自分を不自由にしてしまうのです。

「構造」で捉えると、本数に囚われすぎない

ここで改めて強調したいのは、“自由”とは数ではなく構造の問題だということ。

収入が「8本あるか」ではなく、「労働市場と金融市場という2つの根本構造をどう設計するか」が本質です。

  • 本業に集中し、安定した人的資本を確保する
  • 金融資本は放置型インデックスで自動化する
  • 副業は「やりたいこと」に絞ることで負担を減らす

たとえクアトロインカム(4本)であっても、“構造的にシンプルで強い”設計ができていれば、それはフルスペックの自由と言えるのです。

自由とは、「設計できること」

自由とは、単に“何をしてもいい状態”ではありません。

自分にとって何が重要かを見極め、それに合わせて構造を選び取れること──
それが、shisan-tabiが大切にしてきた「自由の設計」という思想です。

セクスタでもオクタでもなくていい。

むしろ、自分にとって心地よい“構造”を選べばいいのです。

数に憧れるより、構造を見抜け。
枝葉に惑わされず、根を育てよ。

それが、shisan-tabiが考える「構造から自由を設計する」ということなのです。

ポイントは貯めるな、回せ|クレカ活用と“合理的消費”のすすめポイントは価値の下がるチケット。改悪リスクに備え、すぐ使う・投資に回す・複数カードを適材適所で活用する設計力が自由への鍵です。...

この記事を書いた人
shisan-tabiの運営者であり夫(資産設計・旅の記録を担当)
shisan-tabi管理人(夫)
旅のプランニングと資産設計を通じて、自由な人生を構造的にデザインすることを追求中。
50歳での早期退職を目指し、世界一周航空券での長期旅を本気で準備しています。
思想・構造・実践──人生を支える「資産としての旅」を記録・発信中。