01 |思想編|なぜ旅を人生に組み込むのか?

資産型旅シリーズ|思想編 第2.5話|経験資産──思い出が“資産”になるということ

※本記事は、資産型旅|思想編 全6話の「補足回(第2.5話)」です。
旅で得る“見えない資産”=経験資産が、なぜ将来に価値を生むのかを深掘りしています。


妻

「“資産型旅”の次は“経験資産”?また新しい言葉が出てきたけど、なんとなくは分かる気がする…」

夫

「うん。“経験資産”は僕の造語じゃなくて、ちゃんと存在する考え方。物を買うより、経験から得る満足感の方が長く続くっていう、心理学にも根拠のある話なんだ」

妻

「たしかに…。旅の思い出とか、何年経っても色あせないもんね」

夫

「そう。それに、時間とともに価値が“積み上がっていく”点も、金融資産とそっくりなんだよ」

経験は、時間が経つほど価値を持つ

「資産」と聞くと、お金や株式を思い浮かべるかもしれません。
でも、もうひとつの“見えない資産”が、私たちの人生をじわじわと豊かにしてくれます。

それが──経験資産です。

  • 旅行の楽しい思い出
  • 仕事での苦労と達成感
  • 日常の中のささやかな出来事

楽しかったことは、年を重ねるほど「ああ、よかったな」と思い返せる。

逆に、大変だった経験は「あのとき、よくがんばったな」「あの経験があるから今がある」と自分を支えてくれる。


経験も、資産運用と同じ「複利」で育つ

経験は、一度きりで終わるものではありません。
その瞬間は小さな出来事でも、あとからじわじわと効いてくる──そんな性質を持っています。

  • ある言葉が、別の出来事とつながって「腑に落ちる」
  • 過去の体験が、人生の選択肢を広げてくれる
  • 新しい場面で、過去の経験が“判断軸”になる

経験とは、「あとから効いてくる資産」
つまり、時間とともに価値を増していく“複利型の資産”です。

そしてこれは、金融資産も同じ。
早く始めて、長く続けなければ育たない──経験資産も金融資産も、時間を味方につけることが大切なのです。

経験も資産運用も、“複利”で育つ。──それが資産型旅の本質です。


新婚旅行で気づいた“価値観の揺らぎ”

乗船したクルーズ船 Crown Princess の外観
新婚旅行で乗船した海外クルーズ船「Crown Princess」。その巨大さと非日常感に圧倒された。

私たち夫婦の新婚旅行は、海外のクルーズ船旅でした。
「2人で行くからこそ価値がある」と信じていた私が提案したものです。

でも、実際に乗って驚いたことがありました。
船内イベントの中に“シングル専用ナイト”という催しがあったのです。

Princess Cruises の紹介文に、こう書かれています(要約):
「クルーズはロマンチックな旅として知られていますが、実は一人旅でも出会いがあり、新たな人間関係が始まる場でもある」

──その瞬間、自分の中の思い込みが崩れました。
「クルーズ=カップル/パートナーの旅」なんて、勝手に決めつけていたのです。

世界はもっと自由で多様。
その自由さを“実際に肌で感じた”この体験こそ、私にとって大きな価値観の揺らぎとなりました。

そして、もうひとつ驚いたのが──

船内新聞でmost travelled guestとして紹介されていた、とあるご夫婦のこと。なんと、これまでに通算460日もクルーズ船に乗っているというのです。

Princess Cruises船内新聞(名前はモザイク加工)

▲ 実際の船内新聞より(右下に、460日もクルーズを楽しむご夫婦が紹介されている)

「えっ、そんなに!?


クルーズ旅は一度きりの贅沢、そう思っていた私にとってはまさに衝撃でした。

このような“人生を重ねるような旅”の存在を知ったことは、「経験にこそ継続投資すべき」という感覚を、私の中に芽生えさせました。

海に浮かぶクルーズ船と遠景
クルーズ旅行で見つけた“選ばない自由”|夫婦で感じた贅沢な旅のかたち新婚旅行で体験したクルーズ旅。行き先も食事も決まっている“選ばない自由”は、夫婦旅にぴったりの贅沢でした。...
アマルフィを望む海上から撮影した新婚旅行中の一枚。shisan-tabiの実体験の旅から。
こんな自由な人がいる──75歳、3年間を船で暮らすという選択「いつか旅に出たい」と思っていたら、75歳で3年間クルーズ船で暮らす決断をした女性に出会った。そんな自由な生き方から、旅の意味やタイミングについてshisan-tabiが考えたこと。...

「経験資産」は資産型旅の核心

旅とは、単なる消費ではなく、“経験”というかけがえのない資産を少しずつ積み上げていくプロセス。

そしてこの経験資産こそが、資産型旅の中心にある思想なのです。
見えないけれど、確かに人生を豊かにしてくれる“静かな力”──それが経験資産です。

中部国際空港の駐機場で、乗客がタラップ前に待機させられていた際の機体写真(JW104便)
「入国審査なしで日本に入国した話|バニラエアJW104便の“誤誘導”事件と、その後」台北発バニラエアJW104便で、入国審査を経ずに成田空港から日本に入ってしまった実体験を記録。誤誘導と逆流再審査の全貌とは。...

次回は第3話──
いよいよ「資産型旅」の全体像と戦略設計を語ります。


▶︎ キーワード:「経験は複利で育つ」──旅が“人生の資産”になる理由を、実体験から掘り下げます。

▶ このシリーズ全体を読みたい方は、
資産型旅シリーズ 思想編のまとめページへ

この記事を書いた人
shisantabi管理人(夫)
shisan-tabi管理人(夫)
旅のプランニングと資産設計を通じて、自由な人生を構造的にデザインすることを追求中。
50歳での早期退職を目指し、世界一周航空券での長期旅を本気で準備しています。
思想・構造・実践──人生を支える「資産としての旅」を記録・発信中。