資本主義とは「リスクとリターン」で回る仕組み
資本主義の世界では、リスクを取った人だけがリターンを得られます。
この構造はとてもシンプルです。
- ローリスク=ローリターン(例:銀行預金)
- ハイリスク=ハイリターン(例:株式、起業)
だからこそ、資産形成をしようとするなら、ある程度のリスクを引き受ける必要があります。
逆に「絶対に損したくない」と思って何も行動しなければ、リターンもまた得られません。
そもそも資本主義という以前に、人生そのものがリスクとの付き合いの連続です。
就職・転職・結婚・移住・海外旅行──何かに挑戦するから結果が得られる。
この“挑戦”こそ、立派なリスクです。
何もせずに成果だけを得ようとすることは、やはり非現実的なのです。
預金は“守ってくれる”けど、“育ててはくれない”
たとえば銀行預金。元本保証があって安心です。
でも、その代わりにリターンはごくわずか。預金金利はほぼゼロです。
そしてインフレが進めば、「安全な預金」こそが目減りしていくという現実があります。
つまり、リスクを取らないということは、“確実に小さく損をしている”とも言えるのです。
ただし、こうしたことを逆手に取って「預金はダメだ!投資しないと損する!」と不安を煽る存在にも注意が必要です。
不安を煽って、詐欺や詐欺まがいの商品を売る人も確かに存在します。
預金は決して“悪”ではないということ。
最近では預金金利も少しずつ上がりつつあり、インフレが進めばそれに応じて金利も上昇します。
だから、リスクを取りたくない人が預金を選ぶことも、立派な戦略だと私は思います。
私は、適切なリスクを取りリターンを得る、そして早く自由を得たいと考えました。
だから、預金だけを選択しなかった──それだけの話です。
この社会で最もリスクを取っている人とは?
それは──「事業を立ち上げる人(起業家)」です。
- 世の中の課題を解決するという強い思いを持って
- 自分でお金を出して会社を作り、
- 人を雇い、商品やサービスを提供し、
- 成功すれば莫大な富を得る一方で、
- 失敗すれば借金や倒産というリスクも負います。
この起業家の代表例が、テスラのイーロン・マスクです。
一生掛かっても使いきれないほどの莫大な資産を手にしています。
私は企業のガバナンス報告書や有価証券報告書の作成にも関わっています。
たとえば私の勤務する会社でも、こうした報告書には
「適切なリスクをとってリターンを最大化していく」
という言葉がよく登場します。これは他社でも同じような言葉が当たり前に登場します。
リターンを得る、そして会社が成長するにも、やはりリスクと向き合うことが不可欠なのです。
株式投資は「リスクの縮小版?」──でも構造は同じ
株式投資は、事業を自分で行うのではなく、“他者の事業に資本を投じる”こと。
その道、その事業に精通したプロフェッショナルである経営者に自分に代わって事業運営を託すこと。
- 上場企業の“部分的なオーナー”になり、
- 会社の成長に賭け、
- 社会全体の成長にも賭ける
自分で事業を起こさなくても、その仕組みに“乗る”ことができる。
これが株式投資という行為の本質です。
仕組みに乗るからにはリスクも引き受ける。でもそのリスクはオーナーよりは遥かに小さい。
リスクの縮小版と言えるのではないでしょうか。
山崎元の“本質を突いた一言”
経済評論家・山崎元さんは、著書『経済評論家の父から息子への手紙』の中でこう書いています:
資本主義経済は、リスクを取りたくない人間から、リスクを取ってもいい人間が利益を吸い上げるようにできている。
これが、現実のルールです。
値下がりが怖い──その気持ちはよくわかります。
でもこの“怖い”と向き合わなければ、その向こう側にあるリターンにはたどりつけません。
この言葉を聞いたとき、「なんて正直な説明なんだ」と感じました。
そしてこれがお亡くなりになられた山崎元さんの最後の本の中にある一言だというのも感慨深い気持ちです。
“怖さ”を受け止めた分だけ、リターンがある。
ある意味、これは怖さに耐える“我慢料”なのかもしれません。
私は投資信託が値下がりしても売らないと決めています。
リーマンショックは何もせず淡々と積み立てを続けて、コロナショックの時は、半年間という短い期間でしたがむしろ積み立て金額を増やしました。
売らずに保有する。みんなが怖がっている時にこそ積み立て金額を増やす。
いまはトランプ関税で株価の上下が激しいですが、淡々と積み立てを継続する。
我慢して続ける。これこそが、報われる条件だと私は信じています。
だから私は、合理性を常に意識して、不条理ともうまく付き合いながら、
この社会のルールに“プレイヤー”として乗る道を選びました。
次回予告
次回は──
番外編として「国は守ってくれない──資本主義を生きる私たちの現実」を紹介します。

旅のプランニングと資産設計を通じて、自由な人生を構造的にデザインすることを追求中。
50歳での早期退職を目指し、世界一周航空券での長期旅を本気で準備しています。
思想・構造・実践──人生を支える「資産としての旅」を記録・発信中。