03 |実践編|リアルな旅とお金

クルーズ旅行で見つけた“選ばない自由”|夫婦で感じた贅沢な旅のかたち

海に浮かぶクルーズ船と遠景

クルーズなんて、自分には無縁だと思っていた。だけど、新婚旅行の行き先を探していたある日、「船旅」という選択肢に出会った。
何も決めず、ただ海の上で暮らすように移動する──それは、旅の価値観を静かに変える体験だった。

この記事では、そんなクルーズ旅で感じた「選ばない自由」の贅沢について、夫婦で体験したリアルな視点から綴っていきます。

ハート形の雲と夕陽が映えるクルーズの出発風景
思い出をハートで囲んだような夕暮れ。新婚旅行の出発点は、ただの移動ではなく「自由のはじまり」だった。

クルーズ旅行の魅力①|オールインクルーシブで夫婦喧嘩が減った理由

旅の中で案外多いのが「今日どこでごはん食べる?」問題。

ミコノス島の風車と青空
気まぐれな風に吹かれて──今日の食事を心配しなくていい、ただのんびり過ごすだけ。

ぼくはがっつり食べたい。でも妻は「今日は軽くでいい」と言う。じゃあどこ行く?って聞くと「そっちが決めてよ」ってなる。

自由なはずの旅行なのに、その自由さがしんどくなるときがある。

クルーズ旅行の魅力②|旅の役割分担から解放されるしくみ

「行きたいのはあなたでしょ?」って、旅先で言い合いになったこと、ありませんか?
店選び、ナビ、ルート、そして…「なんでこっちが全部やってるの?」という、あのモヤモヤ。

道に迷えば空気が悪くなり、疲れてきた頃に「もうなんでもいい」なんて言われた日には…もう、ね。

でもクルーズ旅なら、
行き先も食事もルートも、すべて“設計済み”。

誰がリードするでもなく、
誰が責任を負うでもなく、
ただ一緒に“そこにいる”ことが旅になる。

これはきっと、自由の別のかたちなんだと思う。

クルーズ旅行の魅力③|好きな時に食べられる自由な船上食生活

船内には、決まった時間に楽しむレストランもあれば、24時間オープンのバフェィ(ビュッフェ)もある。

プールサイドでは、ソフトクリームやホットドッグが食べ放題。

食事も美味しいのだから、この上ない。
料理のクオリティは想像以上で、レストランはもちろんバフェィでも「適当に作られた感じ」がまったくしない。

うちの妻なんか、毎日のようにバフェィでスイカを取ってきては、
「バルコニーで潮風にあたりながら海を見ながら食べるスイカって、なんか特別だよね」と笑っていた。

──たぶん、人生でいちばんスイカを食べた旅だった。
「スイカが食べ放題なだけで、もう満点じゃない?」と冗談交じりに言ってたけど、あながち冗談でもなかった。

クルーズ旅は、「食べること」さえ、旅になる。

クルーズ船の朝食に出された色とりどりの果物
船の朝。白い皿にそっと並べられた、色とりどりの果実。自由とは、こんな風に、手を伸ばせば届くものかもしれない。

クルーズ旅行の魅力④|コスパ抜群!移動も食事も全部込み

クルーズは高そう?
そう思っていたけど、それはただの思い込みだった。

移動・宿泊・食事・エンタメ(ショー鑑賞)すべて込み。
さらにはジムだって使えるし、カジノで遊ぶことだってできる。

これで1泊あたりのコストを割ると、普通に飛行機+ホテル旅より安いケースもある。

Cruise.comなどの予約サイトを使えば、かなりリーズナブルに探せる。

ぼくたちはその時、「ちょっとした贅沢」ではなく「合理的な選択肢」として、クルーズに出会った。

CROWN PRINCESSの船体ロゴ
今回の船は「CROWN PRINCESS」。ここが、わたしたちの“移動するホテル”だった。

クルーズ旅行の魅力⑤|「また来たい」と思える寄港地の楽しみ方

クルーズの欠点は明確だ。
寄港地にゆっくり滞在できないこと。

たとえば「この街、もう一泊したいな」「この街のホテルに泊まってみたいな」と思っても、選択肢はない。
船は常に、次の目的地へと走り続ける。

テンダーボートでの寄港風景
テンダーボートで上陸する──限られた寄港地滞在をめいっぱい楽しむための“旅の足”だ。

ただ、旅の価値は滞在時間の長さだけで決まるわけではない。

「この街には、また来よう」
そんな余韻を残しながら立ち去ることも、ひとつの旅の形だ。

クルーズ旅行の魅力⑥|船上で感じた“見えないつながり”と安心感

そういえば、こんなこともあった──

寄港地を歩いていると、ふと遠くに大きな白い船が見えた。
「あ…あれ、僕らの船だよね」
見知らぬ土地でも、その姿が見えるだけで、不思議と安心する。

そして手にしているのは、乗船時にもらったクルーズ会社のエコバッグ。

最初はふだん使いの手持ちバッグで街を歩いていた。
でも寄港地では、肩からクルーズ船のエコバッグを下げた人たちがけっこう多くて。
「あ、これはちゃんと使わなきゃ」って、自然と手に取っていた。

その日からは、ぼくたちも同じように肩にかけて歩いた。

クルーズエコバッグで寄港地を歩く
寄港地の街を歩くときは、このエコバッグが“仲間のしるし”。

同じバッグを肩にかけた人たちとすれ違うたび、
別に会話をするわけじゃないけど、「あ、仲間だよね」という気持ちが、ふわっと生まれる。

クルーズ旅って、そういう目に見えない繋がりの中にいる感覚が、ちょっと心地いい。

クルーズ旅行の魅力⑦|移動そのものが楽しいから、また乗りたい

「ねえ、次はどのクルーズにしようか?」
それが、帰国後に最初に交わした言葉だった。

それは、考えるまでもなく、すとんと腑に落ちた感覚だった。

荷ほどきしたスーツケースを、そのままにして次の街へ移動できる。
朝起きたら、別の港に着いている。

移動が楽しい。
それだけで、旅はとても自由になる。

あの時間が、ただの“移動”じゃなかったことを、帰国してあらためて実感した。


こうして、私たちの「資産型旅」の第一歩は、
クルーズという“設計された自由”からはじまった。

それは、構造として設計された“自由”だった。

山頂から港を見下ろす後ろ姿。コトルの絶景。
自由を、上から見下ろす旅。港に浮かぶわたしたちの船が、小さくも頼もしく見えた。
航行中の船が残す海の航跡
振り返れば、海の上にだけ軌跡が残っていた──次の街へ、自由に導かれていく。

クルーズ旅行の魅力⑧|世界一周航空券×クルーズという旅の設計

ぼくらは2028年、世界一周航空券で長期旅に出る。

コルフ島とクルーズ船の遠景
空と海が交差する港町で、またクルーズ旅が待っている気がした。

そこにクルーズは組み込まない。でも──

その次の旅では「世界一周 × クルーズ」の旅を設計してみたいと、すでに思っている。

空と海をまたぐ、次なる“自由の形”として。

海に浮かぶクルーズ船と遠景
空と海がつながる場所で、次の旅を夢想する──「世界一周 × クルーズ」は、その先にある。

クルーズ旅行の魅力⑨|初心者・夫婦旅・決めるのが苦手な人におすすめ

  • 「今日なに食べる?」問題になりがちな人
  • 夫婦旅でケンカしたくない人
  • 移動が面倒な人、でもいろんな場所を見たい人
  • 自由に旅したいけど、決めるのが苦手な人

はじめてのクルーズ旅行は、新婚旅行。
クルーズ旅行 初心者」だった私たちが、この旅で出会ったのは、
ただの移動手段ではなく、自由を設計する旅という発想だった。

スーツケースを何度も開け閉めしなくていい。
毎朝、別の港に着いている──それだけでクルーズ旅行の快適さを実感する。
夫婦旅にぴったりの、ストレスのない移動手段だった。

クルーズ旅行の魅力は、選択を手放すことで得られる“別の自由”にある。
特に旅のプランに悩みがちな初心者夫婦には、この形が心地よく感じられるかもしれない。

自分で全部決める自由もいい。
でも、オールインクルーシブなクルーズ旅のように、
「決めなくていい自由」を意識的に設計することも、たまには悪くない。
──それは、旅に限らず、日々の暮らしにも応用できる自由のヒントかもしれない。


クルーズ旅行の注意点|寄港地で迷わないために知っておくべき

クルーズ旅をもっと快適に楽しむには、寄港地の構造を事前に理解しておくと安心だ。

日本でたとえるなら、クルーズの案内に「東京」とあっても、実際の接岸は「横浜・大さん橋」だったりする。
せっかくスカイツリーに行こうと思っても、往復に時間(電車の乗り継ぎで往復3時間はかかる)がかかりすぎて、寄港時間(たとえば5時間)では厳しいこともある。

公共交通があるのか、シャトルバスが出ているのか──そういった情報も案外少ない。
普段から個人旅行で“全部自分で調べる”タイプの人ほど、クルーズの“ゆだねられた自由”にストレスを感じるかもしれない。

サレルノ寄港地マップ
これが寄港地を示すマップ。でも、公共交通の案内は少なく、船を降りたあとの「足」は読みにくい。

だから多くの乗客は、「寄港地観光(エクスカージョン)」に申し込む。(さすがにこれは別料金)
ぼくらも、唯一アマルフィだけはそれを利用した。
英語ガイドだし、船内新聞もすべて英語。でも、その体験込みでおもしろかった。

たとえば、モンテネグロのコトルに寄港する前日。
船内新聞に「Tender(テンダー)」の文字を見つけたけど、「ラブ・ミー・テンダー」しか思い浮かばなかった。

でも当日、港と船のあいだを結ぶ小型ボートが出てきて、「ああ、これがテンダーなんだ」と理解できた。
しかも、これって救命ボートだよねって気づいて、なんか妙に納得した。

クルーズ船の救命ボート(テンダー)
これが「テンダー」。寄港地によっては、この小型ボートでの上陸になる。

英語漬けでネットも繋がらない環境だからこそ、“その場で知っていく”のも悪くない。

──自由とは、すべてを自分で決めることだけじゃない。
“あえて情報を持たずにゆだねる”ことで得られる、別の豊かさがある。


自由な旅の設計へ──クルーズが教えてくれたこと

自由に生きること、自由に旅すること──

その裏側には、見えない設計図がある。

この旅で感じた“自由の設計”については、
今後〈思想編〉で、もう少し丁寧に言葉にしていきます。

「資産型旅」という旅のかたちは、
そんな設計図から生まれたひとつの答えなのかもしれません。

本記事で紹介した「自由の設計」という考え方について、より詳しく知りたい方はこちらもどうぞ。

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この記事を書いた人
shisan-tabiの運営者であり夫(資産設計・旅の記録を担当)
shisan-tabi管理人(夫)
旅のプランニングと資産設計を通じて、自由な人生を構造的にデザインすることを追求中。
50歳での早期退職を目指し、世界一周航空券での長期旅を本気で準備しています。
思想・構造・実践──人生を支える「資産としての旅」を記録・発信中。