03 |実践編|リアルな旅とお金

バリ島で実感したWhatsAppの便利さ|旅を変える“現地文化”と使い方ガイド


海外では当たり前のように使われている「WhatsApp(ワッツアップ)」。
でも日本では、名前すら聞いたことがない人もまだ多いかもしれません。

実際のやりとりはこのような感じ。とてもフランクで即レスです。
実際のやりとりはこのような感じ。とてもフランクで即レスです。
バリ島の何気ない風景の中にも、WhatsAppを通じた“つながり”が息づいています。
バリ島の何気ない風景の中にも、WhatsAppを通じた“つながり”が息づいています。

shisan-tabiが何度か訪れたバリ島では、このWhatsAppが、
ホテル予約・空港送迎・スパ手配・ルームサービスの連絡まで、あらゆる場面で活用されていました。

しかも、それは“企業アカウント”ではなく、
ときにはホテル従業員の個人アカウントでやりとりすることも。

──プロフィール写真の中で微笑む家族と一緒に、僕たちは連絡を取り合っていたのです。

それは驚きでもあり、どこか温かくもある。
「旅が軽やかになるって、こういうことかもしれない」──
そんな気づきを与えてくれた体験を、リアルに綴っていきます。


1. WhatsAppって何?

WhatsApp(ワッツアップ)は、世界中で広く使われている無料チャットアプリ。
日本ではLINEが主流ですが、インドネシア、インド、ブラジル、ヨーロッパ、アフリカでは、WhatsAppが事実上の標準ツールになっているようです。

バリ島もその例外ではありません。
ホテル、スパ、レストラン、送迎ドライバー──誰もがWhatsAppを使いこなしていて、
「メールが返ってこない」なんて心配は無用。たった一言送れば、数分で返信が届きます。
しかも顔文字付きで、やけにフレンドリー。

この“人間らしい”やりとりの軽やかさを、実際の旅の風景とともに紹介していきます。

ちなみにLINEと違って、友だち追加は電話番号を登録するだけ。

これからバリ島に行く予定の方は、事前にインストールしておくことをおすすめします(WhatsApp公式サイトはこちら)。


2. バリ島では、なぜここまで主流なのか

バリ島での滞在中、「あれ、またWhatsAppだ」と思う場面は一度や二度ではありませんでした。

ホテルの予約確認、スパの問い合わせ、送迎の調整。
すべてがメールではなく、WhatsAppで完結するのです。

これは“バリ島だけが特別”というより、インドネシア全体でWhatsAppが生活インフラになっていることが背景にあります。

個人間の連絡だけでなく、店舗や小規模ビジネスもWhatsAppを業務に活用。
ビジネスアカウントの存在も、この普及を後押ししています。

「既読がつく」「レスが早い」「画像や位置情報も送れる」──
メールに比べて、圧倒的に実用的でストレスが少ない。

送られてくるメッセージは、絵文字が多く、文章も短めでフレンドリー。
まるで友人とおしゃべりしているような気軽さです。

背景には、インドネシア特有の“対面文化”を重視する国民性もあるそう。
WhatsAppの即時性や親密さが、この文化にぴったりフィットしているのです。

僕たちはそこで、「旅って、こんなに力を抜いていいんだ」と気づかされました。


3. ホテル予約が個人アカウントで進むという文化的衝撃

あるホテルでは、予約の確認メールがなかなか返ってこない。
ようやく届いたかと思えば、今度は返信しても音沙汰なし。

すると突然、「メールはあまり見ません。WhatsAppで連絡を」と。

メッセージの送信元を見ると、ホテルのロゴではなく、
小さな子どもと笑顔で写る夫婦の写真がプロフィールに表示されていました。

名前だけでは男性か女性か分からず、スペルをネット検索してみると、どうやらこれは女性に多い名前のよう。奥さんの名前なんだな。
──つまり、このアカウントは従業員本人の私用アカウントということになります。

最初は「本当にホテルの人?」と不安にもなりましたが、
やりとりを重ねるうちに、そんな不安は消え、信頼に変わっていきました。

「フライト情報を教えてください」
「スパは何日の何時に予約しますか?」
「送迎ドライバーにあなたのWhatsAppを伝えてもいいですか?」

──まるで友人に相談しているような、カジュアルで人間味あふれるやりとり。

それでも、準備はきっちり進んでいる。

この体験を通じて感じたのは、「顔の見える関係」を大切にする文化のちがいです。

日本では、最近はカスタマーハラスメント対策の一環で接客スタッフの名札がイニシャルだけという店もあるほど匿名性が重視されてきています。
けれどバリ島では、個人として向き合うことが、ごく自然に行われているのです。

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4. ルームサービスもチャットで?朝食のバルコニー対応まで

WhatsAppでお願いした朝食。希望通り、緑に囲まれたバルコニーでゆったりと。
WhatsAppでお願いした朝食。希望通り、緑に囲まれたバルコニーでゆったりと。

別のホテルでは、ルームサービスの案内に「WhatsAppでご注文ください」と書かれていました。

半信半疑で「水を補充してもらえますか?」と送ると、
Certainly, We will bring to you!」──
まもなく本当にボトルを持ってスタッフが現れました。

朝食を部屋でお願いした日には、
「バルコニーで食べたいならセットしますよ」と提案まで。

日本のホテルでは、内線電話越しに形式ばった対応を受けるのが普通ですが、
ここではWhatsAppを通じて、自分のペースで、柔らかく要望が伝えられる。

この“フレンドリーで気が利くやりとり”が、旅に想像以上の快適さをもたらしてくれました。

細やかなリクエストにも柔軟に応えてくれるのが、バリ島スタイル。
細やかなリクエストにも柔軟に応えてくれるのが、バリ島スタイル。

5.フォーム不要、電話不要──スパ予約もWhatsAppひとつで

街歩きの途中で見つけたローカルスパ。ここもWhatsAppで即予約が可能でした。
街歩きの途中で見つけたローカルスパ。ここもWhatsAppで即予約が可能でした。

スパやマッサージも、WhatsAppだけで簡単に予約できます。
むしろ電話も予約フォームも存在せず、WhatsAppが唯一の手段という店もあるほど。

「空きありますか?」と送ると──

  • 料金表の写真
  • 空き時間の候補
  • Googleマップのリンク
  • 「ご希望の時間があれば教えてくださいね!」という一言


がすぐに届きました。

すべてがチャットで完結し、迷うことも、待たされることもない。

日本でありがちな、煩雑なフォーム入力や確認メールのやりとりが一切ないのです。

しかも、一部の店では対応するのが従業員本人の個人アカウント。
「こんにちは、私アイニです。今日も空きありますよ〜」と、
まるで旧友とLINEするような自然さで予約が取れてしまう。

日本人的感覚では驚くべき光景ですが、
その親しみやすさこそが、サービスを「体験」に変える鍵なのだと感じました。


6. この柔らかさが旅を変える──「設計された柔軟性」という視点

旅の途中にふと生まれる「ここで食べたい」。それが叶うのがバリ島の心地よさ。
旅の途中にふと生まれる「ここで食べたい」。それが叶うのがバリ島の心地よさ。

日本の旅は、事前にきっちり予定を立てて、予約を済ませることが前提です。
予定通りに動くことが、“成功した旅”の証とされることも少なくありません。

でも、バリ島では少し違います。

到着してから連絡しても間に合う。変更しても嫌な顔ひとつない。
「Let me check. No problem!」──この言葉に何度助けられたか分かりません。

これは単なる“ゆるさ”ではありません。
むしろ、柔軟性そのものが文化として設計されているように感じました。

顧客ごとに裁量をもって対応できる現場。
言語の壁も感じにくいチャット文化。
リアルタイムで変化に応じられる人とツールの組み合わせ。

「朝食はバルコニーでお願いします」
そんな“旅の途中で生まれる希望”を、
臨機応変にかなえてくれるのが、バリ島という場所なのです。

僕たちは気づきました。
軽やかな旅とは、「予定を詰めない旅」ではなく、
「変化に対応できる余白がある旅」なのだと。

そしてその余白を支えてくれるのが、WhatsAppでした。


7. 結び──“つながる旅”がくれた安心と心の余白

出発直前、WhatsAppに届いたのはドライバーからの「Have a safe flight!」というメッセージ。
出発直前、WhatsAppに届いたのはドライバーからの「Have a safe flight!」というメッセージ。

旅から帰って数ヶ月後のクリスマスイブ。
空港送迎と一日観光を担当してくれたドライバーから、WhatsAppにメッセージが届きました。

💬We wish you Merry Christmas and a Happy New Year!

たった一通のメッセージでも、帰国後もつながっているという感覚が、旅の記憶を温かく包んでくれました。

「次にバリ島へ行くときも、きっとこの人にお願いするんだろうな」
そんな予感すら自然に湧いてきます。

今回の旅で強く感じたのは、
旅を支えるのは「情報」や「スケジュール」ではなく、
“人とのつながり”なのだということ。

形式ばらず、でも丁寧。
迅速だけど、ちゃんと人が返してくれる。
そんなWhatsApp文化が、旅に安心と余白をもたらしてくれました。

──あの緑のアイコンに宿るやさしさが、ちょっと恋しい。
そう思える旅になりました。


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この記事を書いた人
shisantabi管理人(夫)
shisan-tabi管理人(夫)
旅のプランニングと資産設計を通じて、自由な人生を構造的にデザインすることを追求中。
50歳での早期退職を目指し、世界一周航空券での長期旅を本気で準備しています。
思想・構造・実践──人生を支える「資産としての旅」を記録・発信中。