01|思想編|書籍・人物から学ぶ

旅もポートフォリオになる。人生を設計するshisan-tabi的“資産の再定義”

──富裕層の体験トレンドとshisan-tabiの思想

「旅は、あの世まで持っていける資産──」

そんな言葉に出会って、思わず手を止めた。これは、shisan-tabiがずっと語ってきた「旅は消費ではなく資産だ」という考え方と、どこか深いところで重なっている。

今回の記事では、富裕層の旅トレンドを紹介したForbes JAPANの一文をきっかけに、旅という体験を“ポートフォリオの一部”としてどう捉えられるか。

そしてそれが、自由な人生の設計とどうつながっていくのかを、shisan-tabiの視点で考えてみたい。

「旅は資産なのか」─shisan-tabiが出会った問いとその背景

旅は人生における“究極の資産”だと私は考えている。なぜなら旅は多くの気づきを与え、私たちの内面を高めてくれるからだ。日常に帰った後も、いつでも記憶から引き出し、そのときの感動や喜びに浸ることで、励まされたり、希望が持てたりする。しかも保管や運用の手間は一切不要で、あの世まで持っていける。
— 引用:旅はポートフォリオの一部──富裕層が投資する体験のトレンドとは(Forbes JAPAN)

この記事を読んで、shisan-tabiで描いてきた「旅は資産である」という思想が、たしかに一部の富裕層にとっては、すでに現実として体現されていることを知った。しかもその資産は“金銭的価値”ではなく、“内面の充実”に深く関わっている。

shisan-tabiが目指している旅もまた、そういう種類の“資産”だ。株式や債券のように数値で測れるものではない。

だから、資産残高なんて関係ない。けれど確実に、自分の人生を形づくる“無形のポートフォリオ”のひとつになっている。

確かに、橘玲だって人的資本と金融資本を用いて、じぶんの“バランスシート”を作ってみることを教えてくれた。

そして『幸福の資本論』では、人生には「金融資産」「人的資本」「社会資本」という3つの資本があり、それらをバランスよく組み合わせていくことが「人生のポートフォリオ」を構成する鍵だと述べている。

彼の文脈では旅が直接言及されているわけではない。けれどshisan-tabiでは、旅を通じて得られる人間関係や経験、自己成長は、まさにこの人的・社会資本に深く関わっていると捉えている。

そう考えると、旅を「人生のポートフォリオの一部」として位置づける発想も、自然に見えてくる。

ひとり、夫婦、友人とのこれまでの旅で出会った人(ガイドさんの博識ぶりに脱帽とか)、見た景色、受け取った価値観は、日常の中でも思い返すことがある。特に最近は、撮りためた写真をGoogleフォトが思い出としてプッシュしてくれるから、なおさらだ。

ふと悶々としたときや、不安なとき──そうした記憶が静かに自分を支えてくれる。それは、通帳に残る資産とはまた違う、確かに「使っても減らない」資産だ。

Forbesの記事では、富裕層が“本物の体験”にこそ投資していることが紹介されていた。旅に費やす金額と熱意には驚くばかりだけど、shisan-tabiのような「暮らすような旅」や、「自由な時間を軸に設計する生き方」とも通じている。

金額の大小ではない。どんな意志で、どんな構造で旅をするかが、その価値を決める。

ぼくにとって旅は、消費ではない。贅沢でもない。
shisan-tabiの旅は、資産運用や自由設計という文脈の中で、“人生を複利で育てる手段”として位置づけている。


そしてこのshisan-tabiブログは、その旅を資産として捉え直し、言葉にして残すための場所でもある。


旅もまた、人生のポートフォリオの一部として考える

旅は、たまたま時間ができたときに行くものでも、感情に任せて現実逃避するものでもない。  

それを“自由”と呼ぶこともできるけれど、shisan-tabiが目指しているのは、もう少し構造的で、設計された自由だ。

資産運用をポートフォリオで捉えるように、旅もまた、「人生のポートフォリオ」のひとつとして捉え直すことができると思っている。

たとえば株式や債券といった金融資産は、将来の生活を支える“数値化された資産”だ。そして、何年でどれくらい育つかは、期待リターンによっておおよその見当がつけられる。

でも旅は、“感情・記憶・価値観”といったかたちで、人生の自由の土台を静かに支えてくれる。そして、それがどれくらい育つのかはわからないし、むしろ“無限大”なのかもしれない。

それは、目には見えないけれど、人生の意思決定や幸福感に確かに影響を与える資産だ。

だからぼくは、旅を「資産の出口戦略」としてだけではなく、人生全体の設計の中に組み込んでいくことが必要だと感じている。


shisan-tabiは「語ることで価値が増す資産」

旅という資産には、もうひとつ大きな特性がある。
それは、「語ることで価値が増す」ということだ。

思い出を誰かに語ることで、自分自身の記憶にも定着する。
記事として残せば、その記憶は未来の自分や、
もしかしたら誰かの人生にとっても“使える資産”になるかもしれない。

ぼくにとってshisan-tabiというブログは、
そういう旅の資産を「可視化」し、「共有」し、「複利化」するための器だ。

富裕層のようにラグジュアリーな旅ではなくてもいい。
旅に込めた想いや構造があれば、それは人生の中で何度も価値を発揮する資産になる。
それは、確かに“あの世まで持っていける資産”になるだろうと、ぼくも思っている。


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この記事を書いた人
shisan-tabi管理人(夫)
shisan-tabi管理人(夫)
旅のプランニングと資産設計を通じて、自由な人生を構造的にデザインすることを追求中。
50歳での早期退職を目指し、世界一周航空券での長期旅を本気で準備しています。
思想・構造・実践──人生を支える「資産としての旅」を記録・発信中。